この話はそう凄い昔ではないが、かつて、牛の屠殺場があったそうだ。
オトンが私の叔父にも確認をしていて、ここいらの住人も牛の屠殺場があったと認識していた。
「昔は道路ないやん、ちっさい道や、名瀬まで来んのに。
お父さんのイトコのお母さんが具合悪くなって、おぶってきたんやって。
山(崎原)から女数人、ガサガサ、カザカザ、来よったんやて。名瀬来る前に、小俣の上まで、ずーっと、山を。
昔は「しらさぎ園」下りたら、名瀬行くのに、その下を歩かなあかんねん。
そうな、葬儀屋(火葬場)あるやん、な?小さい、あそこが牛を殺す所あってん。あの平たい所あるやん、あの、平らなとこ。こうこう違ごうて、平坦なとこあるやん。」
牛の屠殺場があった場所の確認をしに週末、一緒に行ってきた。崎原方面に行く途中に、カエルの置物があるんだけど、あの手前。
結局、植物が道を覆っていて道は塞がれていた。
この近辺は幽霊の目撃情報があるみたいで、オカンのひとつ上の先輩が島に帰省してきた時に、ここで車を運転していたら、急にワッと女性の霊が突っ込んできたんだって。
霊が現れるようになったきっかけの事件が、牛の屠殺場にはあるんだけど、もしかしたら古い新聞には載っているのかも知れない。